2011→2012 年越し宗谷岬ツーリング 1

12/29
出発の日
仕事をさっさと終わらせて「良いお年を!」と言って事務所を出た。
家に帰り、戸締りをし装備を着こみ18:00にW650に乗って出発。

大阪から敦賀までの道のり京都は渋滞しそうなので高速を使った。
スパイクの抜けを気にして高速を60キロで走る。
ガンガン車に抜かれて恐い。
大津あたりで高速を降りた、ここからは161号線で琵琶湖西側を北上する。
北海道まで雪は無いだろうと思っていたが琵琶湖を抜け福井に入るあたりでまさかのうっすら積雪。
恐い!
雨も降ってきたのでスーパーの駐車場に入り雨具を着る。
もう何処を見てもバイクは走っていない。

敦賀港着

敦賀港でフェリーの手続きを済まし、ロビーでぼーっとしてたら何人かの人に
「にいちゃんヘルメット持ってるけどまさか北海道にバイクで行くのかい?」
「はい、そうです」と伝えると「はあ!?」とびっくりしていた。

24時、フェリー乗船
出港した時に「もう、引き返せないぞ・・・」と決意と後悔の入り混じった感覚に・・・

12/30
苫小牧到着は22時
つまり22時間も暇って事
この日は海は大しけで恐ろしいほどフェリーが揺れてた
プロトレックの高度計が海抜0m→5m→0mと揺れに合わせて変化してて面白い
小説よむ→酒飲む→小説読む→酒飲むの繰り返しで時間を潰した。
写真はフェリー内で買った、北海道ではメジャーなガラナコーラ
異様に甘い。




22:00
苫小牧東港
準備をすませバイクでフェリーから降りた
その時の感想は

「や、やっちまった・・・」

宗谷岬に行くのなんて絶対に無理!」

まさか、これほどまで滑るとは思わなかった
フェリーを降りるなりバリバリのアイスバーン
言うなれば平坦にならされていないスケートリンクの上をバイクで走っているかのような感覚。
縦にも横にもギャップがあり、ハンドルが勝手に右に左に振られる。
突然オフロードコースのウォッシュボードのようにもなっていたりする
しかもそれが土じゃなくて氷だ。
もう本当に想像の斜め上だった。


速度も良くて10キロぐらいを出すのが限界。
それでも国道234で岩見沢に行けるまで行ってみることにした。
駄目なら引き返そうと思った。
途中、のろのろと走ってると何台かの乗用車の窓が開き
道中気をつけて!」と声をかけてもらった
手を振って応えたいが手を出す余裕もないので大声で
「ありがとう!!」と叫んだ

12/31
日付が変わり01:00になんとか岩見沢の街に到着
走っているとネットカフェが見つかったので吸い込まれるように入店
たまたま新人の男の子が緊張で手を震わせながら応対してくれて言葉もカミカミだった
個室に入り、説明を終えた時に「すいません、実は今日が初めてで・・・」と言ってくるので「頑張ってね」と伝えたらすごく嬉しそうな顔をして「はい!あるがとうございます!」とまた噛んでくれた。
和んだ

狭い部屋で体をくの字に曲げて就寝
年越しまで24時間を切った。






07:00 起床
岩見沢出発


まずはガソリンを給油とGSに入る
タンクの蓋を開けようと鍵を刺すも入らない
「?」
グッと押すとガリガリと言いながら少し入るがやっぱり蓋が開かない
「凍ってますね」店員が言う
なんども潤滑剤を差して15分後に蓋が開く。給油を済ませ出発

とにかく滑る
後ろから車が煽ってくるが俺が本気でフロントもリアも滑らせて悪戦苦闘しているのがわかると
みんな距離を置いた。おそらくこのまま煽ってたらほんとに轢き殺してしまうかもと思うのだろう。

ある程度走って気づいたのだけど町中は本当に走りにくい
圧雪された雪の轍が縦に横にあってめちゃくちゃにハンドルを取られる
圧雪、べちゃべちゃの雪、道路に埋められてるヒーターのおかげでアスファルトが出てたり、民家からでた雪かきの雪が道路まで張り出していたりと状況が刻々と変化する。
ただし、なにかトラブルが会った場合はすぐに民家やお店などが近くにあり人の援助を得られるかもしれない。


その反対にオロロンロードのような海岸線の道は轍は無いけど何かあっても暖をとれるような場所もないし救助もなかなか来てくれないかも・・・等と考えていた。


あと、出発前にかった塗るタイプの曇り止めは全然効果がなかった。
息がシールドにかかり曇るのではなくって冷凍庫の霜のごとくシールドの表面が凍る
手でかるく拭うというよりも叩き落とすといった感じか・・・
中が中空になるダブルシールドがあるというが効果があるのだろうか?



13:00
R234→R40を経て名寄に入る
あまりにタイヤがグリップしないのでフロントの空気圧を1.4→1.3と段階的に減らしていた
空気圧を減らすと効果がわかるんだけどなにせビードストッパーを装着していないので禁断の空気圧の領域とは知りつつも空気を抜いていた
そしたらフロントタイヤがパンク
15:00 名寄の道の駅になんとか空気を補充しながら進み到着

チューブ交換をしようと思ったらLレンチ持参するのを忘れてた・・・
途方にくれていたら近くにホテルがあるのを発見
ロビーに行きLレンチ貸してくださいというとすんなり貸してくれた
1時間でチューブ交換を終えて再スタート
なんとか頑張れば稚内駅から徒歩で向かってるK君と車で向かってるSさんに宗谷岬で会えるかもしれない。
そう思うと16時で真っ暗な北海道でも力が出た。
しかし焦りもあってか間違ってR40→R275に進んでしまう 

陽が沈むとそれまで気温が0℃近かったのがみるみる-5℃→-10℃と下がっていく
暗闇のなかヘッドライトが当たる白い地面を注視し黒と白だけのモノクロの世界をなんとか突き進んでいく

寒い!
とにかく寒い
風にみるみる体温を奪われながらもとにかく年内の宗谷を目指して走った

途中、走りながら「あれ?俺なにしてるんだっけ?」とぼんやり考えていると
新雪の中に埋まった圧雪轍を踏んで10mぐらいカウンターを切って直線ドリフトしていた。
なんとか停止して「あ、宗谷を目指してるんだ」と暗闇の森の中で思い出していた
おそらく体温が下がって思考回路がどうにかなってたんだと思う
「まだだ!まだ間に合う!覚悟してたことじゃないか!」と自分にカツをいれた
その後5分おきぐらいに滑り転けそうになるたびにヘルメットのなかで


「ああ!!!!!くそぉーーー!!!!」


と大声を上げた
滑る事に怒ってるんじゃなくって、滑るたびに「もうやめようかな・・・」と思う軟弱な自分の心に叫んでいた




20時頃にセイコーマートが見えたので入店



暖かいコーヒーを飲んで体温が上がってくると冷静になってきた。
「無理をして飛ばせば年内に宗谷に間に合う」でも事故ったらどうする?
待ってくれている友達も心配するだろうし・・・」と考えて近くの公園でビバークすることにした。
セイコーマートの店員さんにバイクを一日置かせてもらうことをおねがいし
公園でテントを張る

テントの中で味噌を溶いてモヤシとそばと豚肉を入れた
「汚い年越し蕎麦だな・・・」と考えながらフライの上をサラサラと滑る雪の音に耳を傾けて酒を飲んで
すぐに凍り出す水のペットボトルで遊んだりした

俺にとって24時間で苫小牧から稚内までW650で走る事は難易度が高すぎた。
睡魔がすぐに襲ってきてシュラフに体を入れて寝た。
よく考えれば奇しくも2012年は16歳で中免をとって20年目だ・・・
そんな事を考えながら眠りに付いた。








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